格安SIMを契約するか悩んだ際に、悩みの種となるのが格安SIMの「通信が遅い」ということです。実際格安SIMは大手キャリアと比較した際に通信が早いとは言えません。今すでに格安SIMを使用している人なら体験していると思いますが、格安SIMには通信が遅くなる時間帯があります。その原因に触れつつ、どのように対処すればよいのか考えていきたいと思います。
目次
格安SIMが大手キャリアよりも通信速度が遅い理由
通信の仕組み
格安SIMを提供するMVNOは大手キャリアの回線を借りて、通信を行っています。この回線を借りる時に、MVNOは大手キャリアから「あるタイミングで一度に流せるデータ量」を決められています。これは帯域を借りると表現されて、MVNOの持つ帯域の広さとその利用者数によって通信の混雑具合は変わります。格安SIMの回線が混雑するのは、MVNOが借りている帯域以上のデータ通信量が発生し、超えた分のデータ通信は後回しにされた時です。この時に通信が遅くなったように感じます。またこのような仕組みをMVNOは取っているため、データ通信量が多い人(ヘビーユーザー)の存在はユーザー同士の負担を不平等にしています。その負担を均等化するために、MVNOではヘビーユーザーを別管理するなどの対策をとっています。
帯域は増やせないの??
そもそもMVNOは設備投資や人件費などのコストを抑えることで低価格の携帯料金を実現しています。帯域を増やすということは、設備投資に更にお金をかけることになるので、携帯料金の価格を維持することが難しくなります。また回線の混雑は同時に通信を行う人が多いときに発生します。後述しますが、通信量が多い時間とそうでない時間が存在しており、安易に帯域を増やしてもホットタイムのキャパシティには耐えることができなかったり、全体的に見ると無駄な設備投資になってしまったりすることがあるため、計画的に投資を行う必要があります。
通信速度が遅くなる理由とその対処法は?
回線の状況によって通信が遅くなることは前述しましたが、それ以外にも格安SIMの通信が遅くなることがあります。それはどの様な場合でしょうか。
回線が混雑している
回線利用者が多く、MVNOが持つ帯域のキャパシティを超えたデータ量の通信が行われている場合、通信が遅くなります。
端末の不具合
格安SIMは自分でAPN(アクセスポイント)の設定を行う必要があり、この設定が上手くいっていない場合、回線に接続できません。また、端末がLTEなどにうまく接続できていない時も回線の接続は悪くなります。それに加えて優先ネットワークが4Gではなく、3Gになっていないかの確認もしましょう。
大手キャリアと格安SIMの通信速度は?
通信速度をみるうえで重要なのが、実効速度と下りの速度です。格安SIMを提供する各社は自分たちの提供する格安SIMの通信速度をよく見せるため、通信の理論上の最高速度をWEBサイトに掲載していますが、実際にはこの速度が出ることはほとんどありません。そのため、実際の通信速度=実効速度を見ることが重要になります。また、下りの速度というものは、ダウンロードを行う際の通信速度を表します。逆に上りの速度とは、アップロードを行う際の通信速度になります。アップロードよりも、動画再生やWEBサイト読み込みなど基本的にはダウンロードを行う操作が多いと思うので、下りの速度は注意しましょう。
通信速度(目安)
速度(通常時) | 速度(混雑時) | |
---|---|---|
大手キャリア | 約30~40Mbps | ほぼ変化なし |
サブブランド | 約13Mbps | ほぼ変化なし |
格安SIM | 約7~10Mbps | 1Mbps未満 |
サブブランドとは、大手キャリア自身が経営管理する格安SIMです。その性質上、他の格安SIMよりも多くの帯域を使うことができるので、通信速度は一定担保されています。またサブブランドとは、一般的にY!mobile、UQ mobileを指しています。
人気アプリの動作保証環境は?
通信が遅いと普段使っているアプリも使いにくくなります。では、人気の高いアプリをストレスなく使うにはどの程度の速度が必要なのでしょうか。
YouTube
YouTubeを鑑賞するには以下の速さが必要となってきます。
画質 | 必要な通信速度 |
---|---|
144p(最低画質) | 120kbps~215kbps(平均180kbps) |
240p(低画質) | 235kbp~350kbps(平均270kbps) |
360p(普通画質) | 330kbps~680kbps(平均530kbps) |
480p(高画質) | 700kbps~1.2Mbps(平均800kbps) |
720p(超高画質) | 1.4Mbps~2.0Mbps(平均1.8Mbps) |
1080p(超絶画質) | 2.4Mbps~3.8Mbps(平均3.0Mbps) |
Netflix
画質 | 速度 |
---|---|
最低限 | 0.5Mbps |
HD画質 | 5.0Mbps以上 |
UHD画質 | 25Mbps以上 |
オンラインゲーム
「荒野行動」などのオンラインゲームを快適にプレイできる通信環境は10Mbps以上と言われています。ゲームの場合、買い切り型などは一度ダウンロードしてしまえば、その後はデータ通信量を使用せずにプレイできます。
通信環境を改善するには??
混雑する時間帯を避ける
多くの人が通信する時間は、朝の通勤時間(7:30~8:30)、昼休憩(12:00~13:00)、帰宅時(18:00~19:00)です。この時間は通信が混み合うため、なるべくこの時間での使用を控える、もしこの時間にスマホを使用する場合、WI-Fi環境下で使用するなど工夫した方がよいでしょう。特に格安SIMの場合、通信速度が大幅に落ちるので注意しましょう。
人ごみを避ける
混雑する場所では、通信も混雑しています。特に電車の駅構内のような場所では、通信環境が一気に悪くなることがあります。満員電車のなかで電波が悪いというような経験をしたことがある人はいると思います。特に格安SIMの場合は人混みの影響を受けやすいので、人混みは避けるだけで通信環境は改善できることがあります。
端末を再起動する
上記以外の理由で回線が安定しないときは端末の再起動も有効な手段になります。回線が安定しないときは、端末が上手く回線と接続できていない可能性もあるので、「機内モード」にするなど行って通信を接続しなおすのも必要です。
「APN設定ミス」
格安SIMは自分でAPNを設定するので、ここでミスが発生しがちです。格安SIMに乗り換えて通信ができなくなった場合、APNの設定を間違っている可能性がありますので、確認してみましょう。
乗り換え検討もしましょう!
格安SIMを使う場合、大手キャリアと比較して通信速度が下がることは仕方がありません。しかし、実際に使ってみて速度の遅さに不満があるようであれば、格安SIMからの乗り換えを検討してみてもよいでしょう。格安SIMから格安SIMに格安SIMから大手キャリアに、乗り換える際の注意点について記載していきます。
格安SIMから格安SIMに乗り換える場合
主な注意事項は次の通りです。
解約手数料の発生
多くの場合、格安SIMでも契約時に最低利用期間が設定されており、その期間を過ぎずに乗り換えを行う場合、解約手数料が発生します。
MNP乗り換え時に料金が発生
MNP乗り換え時にMNP転入手数料とMNP転出手数料が発生します。これらの料金は解約タイミングによっては料金が上昇することもあるので解約タイミングには気を付けましょう。
所持端末が使用できないケースも
乗り換え先の格安SIMによっては所持している端末が動作保証対象外であることもあります。自分が持っている端末が保証対象なのかどうか、しっかりと確認しておきましょう。
格安SIMから大手キャリアに乗り換える場合
上記3つの注意点に加えて、格安SIMから大手キャリアに乗り換える場合、追加で2つの点に注意しましょう。
- 同系列回線からの乗り換えの場合、大手キャリアの乗り換えキャンペーンの対象にならない。
- アンドロイドの場合、端末の対応周波数によってはつながりづらいケースもあります。
通信環境がよい格安SIMは?
大手キャリアと比較した際、格安SIMの通信環境は悪くなります。しかし格安SIMによっては、通信環境を保持しながら料金を下げることが出来ます。
サブブランド
サブブランドとは、大手キャリアの格安SIMを提供する別ブランドです。そのため、大手キャリアの回線の帯域をより多く使用できるので、速度を落とさずに低価格の携帯料金を提供できます。一般的にサブブランドには、Y!mobile、UQ mobileが含まれます。
サブブランドのプランについて
「Y!mobile」
月額料金 | データ容量/月 | |
---|---|---|
シンプルS | 2,178円 | 3GB 通信制限時最大300kbps |
シンプルM | 3,278円 | 15GB 通信制限時最大1Mbps |
シンプルL | 4,158円 | 25GB 通信制限時最大1Mbps |
キャンペーンを利用すれば上記の価格よりも1,000円以上下げることも可能なので、格安SIMでも通信速度は担保したいという人に向いたプランです。
月額料金 | データ容量/月 | |
---|---|---|
くりこしプランS | 1,628円 | 3GB 通信制限時最大300kbps |
くりこしプランM | 2,728円 | 15GB 通信制限時最大1Mbps |
くりこしプランL | 3,828円 | 25GB 通信制限時最大1Mbps |
他の格安SIMよりも携帯料金は若干高めですが、通信環境の安定感と大手キャリアよりも割安である事を考えると、比較検討を十分に行うべきです。
まとめ
格安SIMは設備投資を積極的に行わない代わりに携帯料金を下げています。しかし。そのために通信が混雑してしまい、快適な通信環境を保てない場合があります。回線が混雑しているときは、使う時間を変えるなどするか、いっそ大手キャリアや通信が安定しているサブブランドの格安SIMに乗り換える検討をしてみてもよいでしょう。