格安SIMの通話料金を抑える手段の一つとして挙がることの多いIP電話ですが、070/080/090から始まる電話番号で利用される音声通話と何か違いはあるのでしょうか?
IP電話と音声通話の仕組みは?
IP電話の仕組み
IP電話とは、簡単に言ってしまえばインターネット回線を利用した通話のことです。音声データをパケットと呼ばれる単位に分割し、1本の回線で複数の音声データを運びます。インターネット回線を利用しているため、回線が混雑していると声が遅れて聞こえたり途切れたりします。また、110や119などの緊急通報、117などの3桁ダイヤル、0120などのフリーダイヤル、0570などのナビダイヤルなどが利用できません。一方で、インターネット回線を利用しているので格安SIMのデータ専用SIMでも利用できる、1本の回線で複数のデータを運ぶので回線の利用効率が良く、通話料金が安いというメリットもあります。
通常の音声通話の仕組み
それでは、通常の音声通話はどのような仕組みになっているのでしょうか。なお、ここでは3G回線を利用した従来の音声通話の仕組みを紹介します。VoLTEについては仕組みが異なるため、後程説明します。
3G回線を利用した音声通話は、通常インターネットを利用するときのパケット交換方式ではなく回線交換方式が用いられています。これは、ほぼ音声通話用に使われている回線になります。通話をするときは、このうちの一定の帯域を占有して通話するペアをつなげます。災害時などで利用が集中すると電話がつながらなくなるのはこのためです。
回線の一部分を占有して音声データを通信するので、IP電話のように音声が遅れて届いたり途切れてしまったりということが起こりづらくなっています。
VoLTEの仕組み
近年登場したVoLTE(Voice over LTE)とは、LTEネットワーク上のパケット通信で音声通話を実現する方法です。仕組み的にはIP電話の仕組みであるVoIPと変わりませんが、「QoS(Qualify of Service)制御」によって音声通話用に帯域を保証しているので、IP電話のように音声が遅れるなどのようなことはありません。
かなり噛み砕いて説明すると、LINE通話やSkypeのようにLTEを使って通話をするけど、通信が優先されているので通話の品質が良いということです。
他のVoLTEとIP電話との違いとしては、VoLTEは通常の音声通話のように070/080/090から始まる電話番号が必要なこと、緊急ダイヤルなどにも通話できることなどがあげられます。
格安SIMはIP電話と音声通話、どっちがいい?
格安SIMを新規契約するとき、IP電話を利用するからデータ通信専用SIMでよいのか、それとも音声通話SIMが必要になってくるのか、どっちが良いのでしょうか。
まず、他に通常の音声通話を利用できる手段がない場合は音声通話SIMを選ぶことをおすすめします。確かに普段の通話はIP電話で代用もできるのですが、「もしも」のときにIP電話では119や110が利用できません。一応、近くの警察署や消防署、病院などの電話番号を調べて電話するという手もあるのですが、緊急時にはなかなか難しいのではないかと思います。
他に音声通話ができる手段がある場合は、新しく契約した方をどのような用途で使う予定かで決めましょう。仕事に使うなど通話の品質も重要な場合は音声通話SIM、2台持ちをする予定で新しく契約するSIMを入れる端末ではほぼ通話しないという場合はデータ通信専用SIMを選ぶとよいでしょう。
また、音声通話SIMを利用する場合、かけ放題オプションを利用したり、各会社が出している専用の通話アプリから発信したりすることで通話料が安くなるので覚えておくとよいでしょう。
かけ放題オプションがある会社や専用の通話アプリが用いているプレフィックス方式については以下の記事にまとめています。参考にしてください。
かけ放題が利用できる格安SIMはどこ?