新しいSIMカードの形として、eSIMというものがあります。ところで具体的にはどういったものなのでしょうか。また実際にeSIMを利用したいとき、格安SIMでも利用できるのでしょうか。今回はeSIMについて解説していきます。
目次
eSIMとは??
eSIMとは、「組み込み型SIM」のことを指しています。スマホで通話やWi-Fiなどを媒介なしで通信を行うためには、物理的なSIMカードが必要でした。キャリアや格安SIMと契約することで、その会社のSIMカードが渡され、それをスマートフォンに差し込むことで通信ができるようになります。eSIMは端末にあらかじめ小さなチップが組み込まれており、契約時に開通手続きを行うことで、物理的なSIMカードなしで利用を開始できるようになります。
eSIMを利用するためには??
eSIMに対応している端末と格安SIMを準備する必要があります。eSIMに対応している端末、格安SIMの一覧については後述します。eSIMに対応している端末や格安SIM自体はまだ多くないので注意しましょう。
eSIMはデュアルSIMにも利用できる!
デュアルSIMとは、2つの携帯電話回線を1台のスマホで同時に扱うことができることです。2つの携帯電話回線を1台のスマホに登録することで、通話用の回線とデータ通信用の回線を分けて使ったりすることができます。
eSIMの利点は??
eSIMは「物理的なSIMカード」と異なり、元々スマホに組み込まれたSIMカードです。ではその特性がどんな利点を持っているのか確認してみましょう。
SIMカードの到着を待つ必要がない!
格安SIMを契約する場合、基本的にはWEB上で手続きを行います。そのため、契約手続きを行ってからSIMカードの到着まで、時間差が発生してしまいます。eSIMの場合、手続きを行えばSIMカードの到着を待たずに、利用を開始することができます。
契約の併用が簡単!
SIMカードを併用することで、大手キャリアで通話機能を契約して、格安SIMでデータ通信機能のみ契約するようなことが可能です。通常のスマホはSIMカードの差し替えを行うか、スマホを2台持ちする必要がありました。eSIMであれば差し替えを行わずに併用することができます。
キャリアメールも併用できるように!
上記の理由に重なりますが、キャリアと格安SIMをより簡単に併用できるので、格安SIMを契約しながらキャリアメールも利用できるようになります。WEBサービスの一部では、キャリアメールでしか会員登録できないことがあります。またメールの受信側の設定によって、キャリアメール以外は迷惑メールに振り分けられてしまうことがあります。これらを防ぐために、キャリアメールを併用できることは大きなメリットになります。
eSIMの注意点は??
eSIMは物理的なSIMカードにはない利便性を持っています。ただ契約手続きなどを行ううえで気を付けておくべきポイントについて、確認しておきましょう。
対応している端末・格安SIMは多くない
eSIMはまだまだ日本で普及しているとは言えないので、対応している端末・格安SIMは多くありません。eSIMを利用する場合は、使いたい端末・契約したい格安SIMがeSIMに対応しているかどうか確認しておきましょう。
SIMロック解除は必要!
eSIMであっても、SIMフリー端末以外で大手キャリアから乗り換える・併用して格安SIMを利用する場合は、SIMロック解除が必要になります。乗り換え前のキャリアの回線を、契約予定の格安SIMが使用しているかを確認し、使用していない場合はSIMロック解除を行いましょう。
eSIMに対応している主な端末は??
eSIMに対応している主な端末は以下の通りになります。
eSIM対応iPhone | eSIM対応Andoroid | eSIM対応iPad・タブレット |
---|---|---|
・iPhone12 ・iPhone12 Pro ・iPhone SE(第二世代) ・iPhone11 ・iPhone11 Pro ・iPhone11 Pro MAX ・iPhone XS ・iPhone XS MAX ・iPhone XR |
・Google Pixel 5 ・Google Pixel 4a(5G) ・Google Pixel 4a ・Google Pixel 4 ・Google Pixel 4 XL ・Rakuten BIG ・Rakuten Mini |
・iPad(第8世代) ・iPad(第7世代) ・iPad mini(第5世代) ・iPad Air(第4世代) ・iPad Air(第3世代) ・Surface Pro LTE Advanced ・Surface Pro X ・ASUS TransBook Mini T103HAF-LTE |
eSIMに対応している格安SIMは??
日本では大手キャリアやIIJmioのような、自社でSIMカードを発行できる企業しかeSIMに対応できていません。そのため格安SIMのほとんどはeSIMを提供できないのが現状です。今回はeSIMの提供を開始している楽天モバイルとIIJmioについて紹介していきます。
楽天モバイル
楽天モバイルのeSIMサービスの利用法は??
通常の契約手続きの際に、eSIMでの利用を選択することで、追加料金等なく利用を開始できます。契約手続きから数日後に自宅へQRコードが送られてきますので、それをスマホで読み込めば利用を開始できます。
楽天モバイルのプランは??
2021年4月から楽天モバイルでは新プランの「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」の提供を開始します。こちらのプランでは、従量制となっており、使ったデータ量によって料金が変わります。また楽天回線エリア外ではパートナーエリアに接続され、月5GBのデータ容量を使用可能で、通信制限にかかっても、最大1Mbpsで通信可能です。
2022年6月30日まで
月額料金 | データ使用量/月 | |
---|---|---|
Rakuten UN-LIMIT Ⅵ | 0円 | ~1GB |
1,078円 | 1GB~3GB | |
2,178円 | 3GB~20GB | |
3,278円 | 20GB~ |
※2022年7月1日にRakuten UN-LIMIT Ⅶに自動移行します。
2022年7月1日以降
月額料金 | データ使用量/月 | |
---|---|---|
Rakuten UN-LIMIT Ⅶ | 1,078円 | ~3GB |
2,178円 | 3GB~20GB | |
3,278円 | 20GB~ |
IIJmio
IIJmioのeSIMサービスは??
IIJmioのeSIMはWEB上で申し込みを行うと、メールでアクティベーションコードが届くので、それを読み込むことで利用開始できます。
IIJmioでは現在2種類のeSIMプランを提供しています。片方は、ベータ版として2021年3月19日の正式サービススタートに向けたものとなっています。もう片方のデータプランゼロは元のデータ容量は0となっているのが特徴で、好きなデータ容量を追加して使用する形となっています。
IIJmioで利用できるeSIMのプランは??
IIJmioのeSIM(ベータ版)で利用できるプランは、ドコモ回線のデータ通信のみ6GBとなっています。
月額料金 | |
---|---|
6GB | 1,672円 |
eSIM データプランゼロ
こちらのプランでは元のデータ容量は0となっており、データ容量を追加して利用する形式となっています。また最大10GBまで追加可能です。
料金 | |
---|---|
初期費用 | 3,300円 |
月額料金 | 165円/月 |
追加データ 1GB | 330円 |
追加データ量 2GB~10GB | 495円 |
まとめ
eSIMは組み込み型のSIMとして、今までの物理的なSIMカードにはない利便性を持っています。契約時にSIMカードを待つ必要もなく、また2社の契約を併用することもより簡単にできます。一方で、格安SIMのなかではまだまだ広まっていないのも現状です。既に楽天モバイルや、IIJmioでeSIMを使ったサービスは開始されているので、ご興味があればeSIM対応の端末を準備してeSIMプランを契約してみてもよいでしょう。